元殺し屋と、殺し屋









僕は名前を名乗った。



「ヒョウ・・・?」

「“こおり”と書いて、氷だ」

「どうしてそんな名前なんですか?」



そんなの知らないよ。

僕を捨てた身勝手な大人が、そうつけたんだ。

僕を氷のような人に育てたかったんじゃないの?




「紅羽、殺し屋になる?」

「殺し屋・・・?」

「人を殺すことを仕事にする。
どうしたい?」

「・・・!」



さすがに紅羽は驚いていた。



「強くなりたくない?」

「強く・・・?」

「殺し屋になれば、強くなれる」



きっと紅羽は・・・誰よりも強くなることを望んでいる。

その願い・・・叶えてあげようじゃないか。




「私、殺し屋になる」



紅羽は迷わず頷いた。







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