濁流に溺れたい
日常が崩れる音と共に
とある青年の朝は、隣人の足音と小鳥の囁きから始まった。
脚に絡まる布団を剥ぎ取り、寝返りをうち、時間確認。
「また遅刻だな。」
思わす溜息を吐いてしまう。今日もあの友人に笑顔で毒を吐かれるのだろう。
急いでも遅刻には変わりない。
今朝もまた緩やかに気温が上がっている。
つい先日カレンダーが11月に変化したばかり。
寒い。
埃っぽい洋服箪笥から薄い長袖を取り出し、左腕に袖を通した。
あれ着れない。視線を右腕に向ける。
それはギブスに覆われており、視覚で確認する限り骨折。
全治1ヶ月ってとこだな。
「右腕使えないんだ。昨晩の案件の所為かな。」
ふと時計を眺めた。
「朝飯、作るか。」