橘恋歌
「私もね、大人の方々の真似で始めたらとても楽しくって…。だから、時折乳母たちの目を盗んで遊んでいたら、この前見つかって。“はしたない、そんなことよりも教養を身に付け遊ばせ”って怒るのよ。今日だって琵琶のお稽古をさぼって逃げ出したの。」
「そうだったんだ。道理で女の子なのに上手いと思った。それに、どうやら君は高貴の生まれらしいしね」
「あら、あなただってそうではないの?」
「あっ…わかっちゃった?」