私は幸矢様のメイドです！

すると温かい何かが私に覆い被さる。幸矢さんだった。


「大丈夫だ、俺がいるから。続けろ。」


知らない間に震えていたんだ。幸矢さんの言葉は今までずっと私が誰かに望んできた言葉。視界がぼやけて一粒の雫が落ちる。


「私は沖澤家にとっていらない存在だったんです。
沖澤財閥は人の恨みをかうことも少なくありませんでした。
昨日の犯人も沖澤財閥を恨む人の１人です。

私を誘拐したのは見せしめでしたが、いらない存在である私を誰かが助けに来るはずもなく、犯人はナイフを取り出して私に向けた。

私はそれからどうやって犯人からナイフを奪ったのか、どうしてあの公園にいたのかはわかりません。

でも、公園で自分の手を見ていて私が死ぬべきだったんだって思いました。
誰にも必要とされない私が…｣


ふと幸矢さんの腕の力が強まる。


「って幸矢さんに出会うまで思ってました。」