うっかり持ってきちゃいました 2
「っ、おにいちゃんて、莉子の家族!?」
ぽかんと口を開ける私。驚愕に目を見開いて私たちを見比べるフィル君。そして兄はーー
「奇遇だな。じゃあ」
とナチュラルに手を挙げて去ろうとして。
「ちょっと待てやあぁぁぁ!!」
と叫んだ私の足払いがクリティカルヒットして床に転がった。ざまあみろ!
「ねえ今すっげえ自然に横取りしたよね?さりげなく木彫りの熊をお会計しようとしたよね?私が先に見つけたのよ、おにいさま」
「……しばらく逢わない間に腕を、いや足を?上げたな、妹よ」
転がった兄に跨がって胸ぐらを掴めば、兄は観念したように両手を上げた。その右手の熊を速やかによこせ、兄よ。
「ちょ、ちょっと待て!!他に言う事あるだろう!?異世界召喚されて再会した兄妹の、最初の会話として間違ってると思うのは俺だけか!」
フィル君が衝撃から立ち直ってツッコんだ。それもそうだ。
「……お兄ちゃん、なんでここにいるの?」
「何でって木彫りの熊をお使いで頼まれたからで……」
「そうじゃない!なんでこの世界にいるんだって意味だ!」
なんだか私以上にフィル君がお兄ちゃんを尋問してますよ。なんだか目が超真剣なんだけど。どうしたフィル君。
「……なんでって、召喚されたから。アルティスって魔導士に」
「「はあああああ〜!?」」
やっぱり諸悪の根源はお師匠様でした。
「リヒトがリコの兄だったとはねぇ」
兄を引きずってウチまで戻って来た私とフィル君に、お師匠様はあっさりと事実を認めた。
優雅にお茶を嗜みながら、にっこりと兄に笑いかける。
「リヒトは私が召喚した異世界人なんだ。もう2年前になるかな」
「えええ……」
私は兄とアルさんを見比べてハッと気付く。兄に詰め寄った。
「この世界にメイド喫茶の文化を持ち込んだのはキサマか、兄よ……グッジョブ!!」
「いやあ、それほどでも」
「そうじゃないだろう、リコ!!」
親指を立て合う私たち兄妹の姿に、フィル君はそう叫んでがっくりと項垂れた。
「あっちでも同じ時間の流れなら、リコの兄は2年間行方不明だったってことだよな」
フィル君が確かめるように私に聞く。私は頷いた。
「2年前、お兄ちゃんアメリカ留学に行ったんだよ。海外行ってすぐ連絡つかなくなったから、ただ忙しいのかと思ってたー」
「お前がこっち来るまで1年半、ずっと音信不通だったのに不審に思わなかったのか?」
フィル君の目がちょっとだけ鋭くなって、アルさんもこっちを見ていて、私はにかっと笑ってみせる。
「金髪美女とよろしくやってんのかと思ってたから。お兄ちゃんもそれなりにモテるからねえ、私のミラクルモテスキルには遠く及ばないけれども!!」
ふふんと笑ってみせれば、兄もふふんと踏ん反りかえった。
「それほどでもあるがな」
あっ、フィル君がぷるぷるしてスリッパを握りしめましたよ!ツッコミ必殺技炸裂用意でしょうか!
「……リコの兄だというのがよおくわかった」
どういう意味だ!
ぽかんと口を開ける私。驚愕に目を見開いて私たちを見比べるフィル君。そして兄はーー
「奇遇だな。じゃあ」
とナチュラルに手を挙げて去ろうとして。
「ちょっと待てやあぁぁぁ!!」
と叫んだ私の足払いがクリティカルヒットして床に転がった。ざまあみろ!
「ねえ今すっげえ自然に横取りしたよね?さりげなく木彫りの熊をお会計しようとしたよね?私が先に見つけたのよ、おにいさま」
「……しばらく逢わない間に腕を、いや足を?上げたな、妹よ」
転がった兄に跨がって胸ぐらを掴めば、兄は観念したように両手を上げた。その右手の熊を速やかによこせ、兄よ。
「ちょ、ちょっと待て!!他に言う事あるだろう!?異世界召喚されて再会した兄妹の、最初の会話として間違ってると思うのは俺だけか!」
フィル君が衝撃から立ち直ってツッコんだ。それもそうだ。
「……お兄ちゃん、なんでここにいるの?」
「何でって木彫りの熊をお使いで頼まれたからで……」
「そうじゃない!なんでこの世界にいるんだって意味だ!」
なんだか私以上にフィル君がお兄ちゃんを尋問してますよ。なんだか目が超真剣なんだけど。どうしたフィル君。
「……なんでって、召喚されたから。アルティスって魔導士に」
「「はあああああ〜!?」」
やっぱり諸悪の根源はお師匠様でした。
「リヒトがリコの兄だったとはねぇ」
兄を引きずってウチまで戻って来た私とフィル君に、お師匠様はあっさりと事実を認めた。
優雅にお茶を嗜みながら、にっこりと兄に笑いかける。
「リヒトは私が召喚した異世界人なんだ。もう2年前になるかな」
「えええ……」
私は兄とアルさんを見比べてハッと気付く。兄に詰め寄った。
「この世界にメイド喫茶の文化を持ち込んだのはキサマか、兄よ……グッジョブ!!」
「いやあ、それほどでも」
「そうじゃないだろう、リコ!!」
親指を立て合う私たち兄妹の姿に、フィル君はそう叫んでがっくりと項垂れた。
「あっちでも同じ時間の流れなら、リコの兄は2年間行方不明だったってことだよな」
フィル君が確かめるように私に聞く。私は頷いた。
「2年前、お兄ちゃんアメリカ留学に行ったんだよ。海外行ってすぐ連絡つかなくなったから、ただ忙しいのかと思ってたー」
「お前がこっち来るまで1年半、ずっと音信不通だったのに不審に思わなかったのか?」
フィル君の目がちょっとだけ鋭くなって、アルさんもこっちを見ていて、私はにかっと笑ってみせる。
「金髪美女とよろしくやってんのかと思ってたから。お兄ちゃんもそれなりにモテるからねえ、私のミラクルモテスキルには遠く及ばないけれども!!」
ふふんと笑ってみせれば、兄もふふんと踏ん反りかえった。
「それほどでもあるがな」
あっ、フィル君がぷるぷるしてスリッパを握りしめましたよ!ツッコミ必殺技炸裂用意でしょうか!
「……リコの兄だというのがよおくわかった」
どういう意味だ!