うっかり持ってきちゃいました 2
「俺が召喚したのは、うっかり持ってきちゃっても影響の少ない異世界の存在」

 その目は、何となく。

「俺を必要としてくれる運命の人」

 いつもと違ってて。

「でもリコ、きっと違うんだ。ーー“俺が“必要とする、運命の人だ」

 とんでもない、殺し文句を。

「帰るな。この世界に、ここに居て。俺のそばに」


 私をうっかり召喚した魔法使いの男の子は、一撃必殺のクリティカルヒットをかましたーー。



「……何キミたち、やっとくっついたの」

 家に帰った私たちを迎えたお師匠様が、呆れたように言って。私はニンマリと笑ってみせる。

「お師匠様、聞いて聞いて!フィル君が最高に可愛くてもう鼻血がね!」
「やめろぉぉバカ女!!」

 喜び勇んで報告しようとする私の口を押さえて、フィル君は真っ赤な顔で叫んだ。あら涙目。

「一生の不覚っ……!こんなデリカシー壊滅女にうっかり告白するなんて……」
「え、何後悔してる?いらないなら私にくれる?」
「お師匠様ったらあらゆる隙を逃さない、えげつないくらい有能なイケメンだね!」
「だ、ダメです!」

 勢いよく叫んだフィル君は、ニマニマ笑い合う私とお師匠様に気づいて、さらに真っ赤になってしゃがみこんだ。

「ああああ、ずっとこうやって遊ばれんのかよ……」

 うん、だろうね!いいカンしてる!


 それから、魔法使いとその弟子の家には変わらず、可愛くて妙な娘が住んでいる。
 うっかり持ってきちゃった、運命の少女がーー。
< 29 / 29 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:5

この作品の感想を3つまで選択できます。

この作家の他の作品

君の名を呼んで 2

総文字数/89,211

恋愛(オフィスラブ)140ページ

表紙を見る
君の名を呼んで

総文字数/151,544

恋愛(オフィスラブ)282ページ

表紙を見る
私んちの婚約者

総文字数/166,041

恋愛(ラブコメ)274ページ

表紙を見る

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop