イップス
断末魔
一
今日もたくさんあざをこさえ、ぐったりしながらグラウンド整備をしていると、桜庭さんの悲鳴みたいな声が聞こえた。同級生同士、何事かと顔を見合わせていると、真っ赤な顔をした桜庭さんがグラウンドから飛び出して行くのが見えた。そして、涙をためた目を俺に向け、
「全部…、全部お前のせいだからな!!」
桜庭さんの身勝手な罵声には慣れてきたつもりなのに、どうしてまだ悲しいと感じるんだろう。
「望月、ちょっといいか」
桜庭さんが飛び出してきた先にいた監督は、弱々しい声で俺を呼んだ。記者を前にした時とは、全然違う、指導に悩む教師の顔。
「はい」
なんとなく、嫌な予感がした。