ずっと[短編]
 友人を招いて彼を紹介した。あたしはそのときに綾も呼んだ。

 綾は唖然とあたちたちを見た。

 彼も綾の存在に気づいたようだったが、何も言わなかったのだ。

 でも彼女は何も泣き言を言わなかった。

「幸せに」

 悪意のない笑顔だった。

 だから彼女は分かってくれたのだと思っていた。

 彼女に何も言わずに逃げ続けたあたしを

 許してくれたのだと思っていた。
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