ずっと[短編]
「お皿に移すね」

 あたしはケーキの箱を持ったままキッチンに向かう。

 このマンションのキッチンはオープンキッチンなので、美智子の姿も綾の姿も見える。

 あたしはケーキの箱を開けて寒気を感じるのが分かった。

 高鳴る心臓を押さえながら美智子に聞く。

「誰か来るの?」

「どうして?」

 彼女が渡したケーキの箱の中に入っていたのは


 ケーキが四つ。
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