ずっと[短編]
「綾、あんた」

 生きていたの?

 少なくともあたしにはそう見えた。

「どうしたの?」

 怪訝そうな顔で美智子があたしを見た。

「今、綾が目を開けて。まだ死んでない。医者を呼ばないと」

「しっかりして。辛いのは分かるけど」

 美智子は強い言葉であたしにそう言い放つ。

「そんなことない」

 あたしがもう一度、綾を見ると、彼女の目は閉じられ、彼女の腕も彼女の体に添えられている。

 さっき微笑みかけた彼女はそこにはいない。

 美智子の顔が暗くなる。美智子はあたしの額に手を当てた。彼女の手はいつも暖かい。

「疲れているのよ。早く式場に行きなさい」

「でも、今、綾が」

 確かに微笑んだのだ。

 あたしを見て。

 お祝いをする、と。

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