ずっと[短編]
 美智子の手があたしの肩を掴んだ。

「綾は死んだのよ。しっかりしなさい」

「そうだよね」

 あたしの罪悪感が見せた幻なのだろうか。

 彼女は典型的な恋愛に生きる子だった。

 ただ不幸だったのはあたしもそうだったということだった。

 あたしたちはよく似ていた。

 似た者同士だから仲よくできたのだ。

 でも似た者同士だから。

 あたしは目を閉じる。

「もう行くね」

 あたしが美智子にそう告げて立ち去ろうとしたとき

 あたしの手に冷たい感触が襲う。

< 6 / 50 >

この作品をシェア

pagetop