(仮)恋の幻想曲
1.出会い
「…おーい、奈々生?」
「きゃっ!勝手に入って来んな」
女子の部屋にズカズカと無断で入って来るのは弟の蔵橋 暦(くらはし れき)。ちなみに珍しい双子だ。そして今日、私は名門の常盤高校へ転入する。
「何だよ……もう着てんじゃん」
「な、何か文句あるかバカやろー」
まじまじと見つめられて顔が赤くなるのが分かる。暦はハッキリ言うとイケメンという分類に入るだろう。茶髪で短めの爽やかなイケメンだ。ま、性格はあれだけど。
「いや文句はない。早く行こうぜ、奈々生」
「うぅ。暦……何度も言ってるけどお姉ちゃんって呼んで!」
そう言うと暦は必ず嫌な顔をする。理由は私達が双子だから。一応は私が姉なんどけど産まれた時も一緒なら時間も同じ。だから姉と呼ぶのに抵抗があるんだろう。
「…………(じーーぃ)」
「…………あーもう、呼べば良いんだろ!
ね、姉ちゃん」
不覚にも可愛いと思ってしまった。よっぽど恥ずかしかったのか暦は耳まで真っ赤。