(仮)恋の幻想曲
「ハァハァハァハァハァハァ…」
私達は走っています。
せっかくの豪華な建物だからゆっくり見たかったけど遅刻したら最悪だし、諦めた。
中に入ると左右に複数の部屋があって真ん中に階段がある。そこを上がると赤の絨毯にまた複数の部屋。またまた階段を上がると教室らしい。
「ハァハァハァ……雛君、時間はっ!」
「あ、うん……ギリギリセーフだね」
良かった。
何とか遅刻だけは避けられた。
「なぁ雛……何でエレベ――――」
ピーンポーン
暦が何かを言いかけた時、聞き慣れた音が私の耳に届いた。
それはまさしくエレベーターの音だ。
「ふぁぁ~………ん?」
エレベーターに乗ってた人物は大あくびをしながら私達を見て固まる。
「おはよー、しー君」
「おはよう雛太と暦。それと見慣れない可愛い子ウサギさん」
エレベーターから出てきた人物に言われた言葉……今時そんな台詞を言う人がいるのも驚きだけど鳥肌が立った。
「おぅ紫苑……お前は楽したな」
「ププッ。二人供、まさか階段で来たの?
いつもエレベーターなのに」
「え!エレベーター…………どういう事、暦」
「えっと…その」
エレベーターがあるならこんな苦労しないでも教室に着けたのに。