(仮)恋の幻想曲

「えっと…あの」

「なーに躊躇ってんの」


その声と一緒にずっしりと肩に掛かる負担。
それが何を意味する事か一瞬で分かってしまった私は。


「いやあああぁっ!」


パシンッ


思わず紫苑を叩いてしまった。
周りは暦以外ポカンで叩かれた本人ですら状況が分かってないようだ。


「大丈夫か?もしかして男性恐怖症なのか」

「う、うん」


理皇は一定の距離を保ちそう言う。
私にはその距離が意外にも寂しく感じる。


「なら早く言えよ!
てか叩かれる意味あっか!?」

「うるせーぞ、紫苑。
普段の行いが悪いからだろうが」

「しー君と暦君。喧嘩はダメだよ」


雛君に怒られて二人はバツが悪そうに目を反らした。それが面白かった私は空気も読めず笑ってしまった。


「蔵橋……フフッ」

「なっ、会長まで笑うか普通」


…何だろ。
上手く言えないけどこの人達とならやっていけるかもしれない。根拠はないけどそう思った。
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