裏腹な彼との恋愛設計図
うわぁー言わないでよ、翔吾くん!

理由はないけど、なんとなく柊さんには知られたくなかったのに……!

そしてこの肩を抱く手! 手を離せ~!


「そうでしたか。世間は狭いですね」


じたばたともがく私を気にも留めず、営業用スマイルを崩さない彼は、当たり障りのないありきたりな言葉を返した。

うぅ、少しも反応を示してもらえないなんて切なすぎる……。


「では、お二階でお待ちください」

「……どーも」


いつもと何ら変わらない態度で一礼し、オフィスへ戻っていく柊さんを、くっついたまま目で追う私と翔吾くん。


「スカした奴だなぁ……つまんねーの」

「彼はああいう人だから……。ていうか、人の職場でこういうことしないでください!」

「相変わらずガード堅いな、紗羽は」


肩に回された手を振り払うと、翔吾くんは何事もなかったかのように靴を履き替える。


「付き合っても全然ヤらせてくれなかったもんな。そんなんじゃオトコに呆れられるぜ?」

「余計なお世話です!」


久々の再会でそんなこと言う!? ほんっとサイテー。

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