裏腹な彼との恋愛設計図
「翔吾くんはまだ保険会社に勤めてるの?」

「あぁ。紗羽の周りで結婚する人とかいたら教えて。保険見直す時期だからさ」

「うん、わかった。三十前後って結婚ラッシュだよね」


保険会社の営業マンである彼は、相変わらずノルマがあって大変そうだ。

案内した椅子に座った翔吾くんは、長い足を組んで私を見上げる。


「紗羽はまだ予定ナシ?」

「予定なんて全然。彼氏すらいないもん」

「あれ? じゃ、この間のは俺の見間違いか」

「この間のって?」

「二週間くらい前かな、紗羽らしき人が男と映画館から出てくるの見たんだけど」


──なにぃ!?

うそ……まさか翔吾くんにまで見られていたとは……!


「そ、それはたぶん私……」

「あ、やっぱり? なんだ、あの人彼氏じゃねーのか。セフレ?」

「何でそうなるの! あなたと一緒にしないでよね!」


パシンと肩を叩くけれど、最低男は性懲りもなくへらりと笑う。

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