裏腹な彼との恋愛設計図
「冗談だよ。紗羽はそんなこと出来ないお子ちゃまだもんな」

「お子ちゃまで結構」

「あ、でも意外と胸はあるか」

「ヤメテよ変態!!」


このセクハラ野郎~~!!

思わず半歩引き下がって、胸を隠すように自分で自分を抱きしめると。


「──お客様」


冷静な声が、私達の会話を中断させる。

声の主は、アイスティーが入ったグラスを乗せたトレーを持つ柊さん。

翔吾くんの斜め後ろに回り込んだ彼は、そこからスッとグラスを差し出した。


「お話の途中すみませんが、彼女にも仕事がありますので」


翔吾くんを見下ろして言った彼は、微笑んでいるけれど目はまったく笑っていない。

コトンと静かにグラスを置くと、その目線は次に私を捉らえる。

その一瞬、笑みが消えた。


ひぃぃ怖い! きっと仕事せずに喋ってたから怒ってるんだ……

お茶だって私が用意しなきゃいけなかったのに、柊さんにやらせちゃったし!


「それはすみませんねぇ」と悪びれた様子もなく言い、さっそくアイスティーに手をつける翔吾くん。

その向かい側に柊さんが移動する時、無言でトレーを渡された私は、背中に冷や汗が流れるのを感じた。


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