裏腹な彼との恋愛設計図
残された私と柊さん。急に緊張感が増す。

友達とは言え仕事中にこんな会話しちゃって、またお怒りになるでしょうか……。


恐る恐る隣の彼を見やると、少し険しい表情をしているものの、目線は玄関のドアの先を見つめたまま。

ん? 何か考え事でもしてる?


「……柊さん?」


顔を覗き込むようにして呼び掛けると、彼はピクリと反応して私を見下ろす。

けれどそれは一瞬で、すぐに目を逸らした。


「……二階の片付けよろしく」

「あ、はい……!」


それだけ告げた彼は、踵を返してそのままオフィスへ向かってしまった。

どうしたんだろう? 怒られるどころか、なんだか珍しくぼんやりしていたような……。


翔吾くんが何か変なこと言ったりしたわけじゃないよね?

変なことと言っても何の見当もつかないし、考えても仕方ないけれど。


「……とりあえず後で朝海に連絡するか」


なんとなくしっくりこない気分のまま一人呟き、私はもう誰もいない二階へと上った。




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