裏腹な彼との恋愛設計図
冷たく響いた声に、私の笑みは一瞬で消え失せる。


「……何で?」

「これ以上、僕なんかと変な噂立てられるの嫌だろ」


ノートに視線を落としたまま言う三好くん。

いつものように、長めの黒髪に隠されて表情は見えない。


三好くんの耳にも、そりゃあ噂は届いているよね……。

黙っていると、彼はノートや教科書を閉じてスッと立ち上がる。


「もう僕に話し掛けない方がいい」


淡々とした口調だったけれど、それはどこか寂しそうに聞こえて。

私は咄嗟に彼のブレザーの袖をきゅっと握っていた。


「……私が話したいの」


だって、キミのことが好きだから──。


そう言葉に出来ていたら、何かが変わっていたかもしれない。

でもそこまでの勇気がなかった私は、彼を見上げて「ダメ?」と言うだけ。

彼は戸惑うように黒縁眼鏡を押し上げると、俯きがちなまま、袖を掴んでいない方の私の手をそっと握った。

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