裏腹な彼との恋愛設計図
──ドキン!と大きく心臓が飛び跳ねる。

こんなふうに触れ合ったのは、初めてだったから。


温かくて、少し厚みのある男の子の手が、私の手を包み込む。

それは“話しかけてもいいよ”という三好くんのOKのサインだと受け取った私は、再び笑顔が戻って。

終始俯いたままの彼と一緒に、その日は手を繋いで帰ったのだった。



しかし。

どうやらその場面も目撃されていたらしく、“手繋ぎデートをしていた!”と噂は瞬く間に広まった。

三好くんに話し掛けようものなら、すぐに冷やかされる。

気にしないとは決めたものの、あまりにも周りがうるさくて、思うように接することが出来なくなっていた。


縮まったように思えた三好くんとの距離は、あっという間に元通り。

イライラしながら迎えたクリスマスイブも、男子から「クリスマスはオタクと過ごすの? 何すんのー?」とからかわれ。


「そんなわけないじゃん! もうやめてよ、すっごい迷惑!!」


と、ついに怒号を昼休み中の廊下に響き渡らせてしまった。

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