裏腹な彼との恋愛設計図
その時、突然私の横に現れたのは、騒ぎを聞いていたらしい翔吾くん。

私の肩を抱き寄せると、あろうことかこう言い放ったのだ。


「お前ら勝手なこと言ってんじゃねぇ。こいつとクリスマス過ごすのは俺だっつーの」


その言葉を聞いた男子達も、もちろん私も唖然とした。

彼なりに私を助けてくれたらしいのだけど、その後私の噂が三好くんから翔吾くんに上書きされてしまったのは言うまでもない……。


 *


懐かしい思い出に耽っていた私達は、それぞれお酒を飲んでふぅと息を吐く。


「……翔吾らしいわよねぇ」

「あの後、今度は“金井に遊ばれてる”って言われて大変だったんだから」

「でも冬休み入ったらそんな噂すぐ消えたろ? それに俺は紗羽以外の女とも色々言われてたから、“あぁまたか”で終わったんだよ」


策士だろ、と言って笑う翔吾くんに、私は一つため息をつく。

たしかにそれから受験やら何やらで登校日も少なくなっていたから、いつの間にか私達は話題にもされなくなっていたけど。

それと同じように三好くんとの関係も、進展するどころか後退したまま卒業してしまった。

クリスマス以降避けられてるような気がしたし、彼も私と翔吾くんの噂を耳にしていたのかもしれない。

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