裏腹な彼との恋愛設計図

翌日、約束の十一時ぴったりに金井翔吾はやって来た。

いつもの来客時のように、鈴森が二階へ案内する。

笑い合う二人を見て不愉快な気分になっている自分も嫌で、目を背けてファイルを取りに向かう。


様々な書類を手に二階へ上がると、笑って話していた鈴森がこちらへ向かってくるところだった。

俺とすれ違いざまに、何故か怯えるように肩をすくめ、ペこりと頭を下げて足早に階段を下りていく。


彼女がオドオドしてるのは今日に限ったことじゃないが……何故か今は無性にイラついた。

金井さんの前に立つと、片手で頬杖をつき、品定めするような上目遣いで俺を見てくる彼に、さらにイラ立ちが募る。

……が、そんなことは顔や態度に出すわけがない。


「こんにちは。またお越しいただいて、ありがとうございます」

「いーえ。紗羽にも会いたかったんで」


お互いににこりと笑うが、俺の口の端はピクリと引きつってしまったような気がする。

何なんだ、この間から紗羽紗羽って……。

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