裏腹な彼との恋愛設計図

それからは建て替えの話に戻り、ひとまず今日の打ち合わせは終了した。

一階へ下りオフィスの中をちらりと見やると、ちょうど鈴森は電話中で内心ほっとする。

金井さんは靴を履き替えながらこう言った。


「今度の打ち合わせには俺の父親も連れて来るんで、安心してください」

「……それはどうも」


ぎこちない笑みを返すと、彼は何かを思い出したように、「あと」と言葉を繋げて俺の方を振り返る。


「来月のお盆中に同窓会やる予定なんですよ、高校の。もしかしたら、紗羽の好きだったヤツが来るかもしれませんよ」


──同窓会、好きだったヤツ。

そのワードにピクリとつい反応してしまう。

そんな俺に、金井さんは不敵な笑みを浮かべる。


「あ、ちなみにたぶん俺も行くんで。酔った勢いでアイツを襲うなんてことも無きにしもあらずっていうか。一応忠告しときます」


ピシッと音がするかと思うほど、張り付けた笑顔にヒビが入ったような気がした。

この男……人を挑発するのもいい加減にしろ。

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