裏腹な彼との恋愛設計図

矢城の鈴森に対する恋心には、二人が抱き合っている場面を目撃する前から気付いていた。

わかりやすいからな、アイツら。矢城なんてもう隠す気すらないようだし。

鈴森もまんざらでもなさそうだったし、付き合うものと思っていた。


しかし、『彼に恋愛感情はない』と言う彼女。

そんなのは建て前じゃないかと最初は疑っていたが、金井さんがああ言うということはきっと本当なのだろう。


……ってことは、鈴森は金井さんにもそれを打ち明けていたってことじゃねーか。

同級生で元カレとは言え、そんな話をするくらい仲が良いということに腹立たしさを覚える。


俺には、金井翔吾がそんなにいい男だとは思えない。

だって、あいつは──。




「ねぇ隼人くん。このお宅の相談なんだけど、階段に手すりを付けるとなるとこの窓の位置が……隼人くん?」

「あ、はい?」


隣から掛けられた声を、最後の方だけ聞き取り振り向くと、絵梨子さんが不思議そうに俺を見ていた。

まずい、今かなりぼーっとしてたな俺。

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