裏腹な彼との恋愛設計図
顎に手をあてて考えていた俺は、社長を見据えて答える。
「いえ、通います」
「大変だけどいいのか?」
「えぇ。俺の頑張り次第では、早く向こうを軌道に乗らせて、もっと短期間で帰ってくることが出来るでしょうし」
ふっと口元を緩ませて腰を上げた社長は、「頼もしいなぁ君は~」と俺の肩をバシバシと叩く。
苦笑いしていると、彼は思い出したようにこう言った。
「あぁそういえば、向こうのショールームのアドバイザーの岩坂(イワサカ)って子が、今度こっちも見学しに来たいと言ってるんだ」
「え?」
杏奈が?
思わず眉をひそめる俺の横に、社長のコーヒーを持った鈴森がやってきた。
「何で……」
「新しいシステムキッチンを販売し始めたから、その営業も兼ねてわざわざ来てくれるそうだ。これから新科店に行ったら世話になるだろうし、この機会に少し話してみたらいい」
今さらあいつと話すことなんてないし、それだけが目的で来るとは思えないが……。
気を重くする俺に、カップを受け取った社長は、ニヤリと含み笑いしつつ言う。
「君と同い年で、なかなかの美人らしいぞ」
──一瞬、立ち去ろうとする鈴森の足が止まったような気がした。
「いえ、通います」
「大変だけどいいのか?」
「えぇ。俺の頑張り次第では、早く向こうを軌道に乗らせて、もっと短期間で帰ってくることが出来るでしょうし」
ふっと口元を緩ませて腰を上げた社長は、「頼もしいなぁ君は~」と俺の肩をバシバシと叩く。
苦笑いしていると、彼は思い出したようにこう言った。
「あぁそういえば、向こうのショールームのアドバイザーの岩坂(イワサカ)って子が、今度こっちも見学しに来たいと言ってるんだ」
「え?」
杏奈が?
思わず眉をひそめる俺の横に、社長のコーヒーを持った鈴森がやってきた。
「何で……」
「新しいシステムキッチンを販売し始めたから、その営業も兼ねてわざわざ来てくれるそうだ。これから新科店に行ったら世話になるだろうし、この機会に少し話してみたらいい」
今さらあいつと話すことなんてないし、それだけが目的で来るとは思えないが……。
気を重くする俺に、カップを受け取った社長は、ニヤリと含み笑いしつつ言う。
「君と同い年で、なかなかの美人らしいぞ」
──一瞬、立ち去ろうとする鈴森の足が止まったような気がした。