裏腹な彼との恋愛設計図
それが終わりを迎えたのは、杏奈が新科店がある地方へ異動になった三年前。
『離れても、今の関係を続けてくれる?』
異動が決まった時の彼女の問いに対して、俺は迷うことなく答えた。
『……続けるつもりはない。杏奈はそろそろ結婚だって考えるだろうが、俺はそれを叶えてやることは出来ないから。この関係は、今のうちに終わりにした方がお前のためだ』
俺の言葉を杏奈は予期していたらしく、反論もせずにただ俯くだけで。
昔のように、フラれてもしがみついてくる彼女はもういなかった。
俺はきっと、知らず知らずのうちに杏奈に甘えていたのだと思う。何をしても、彼女なら受け止めてくれると。
けれど、その存在がなくなってもさほど胸は痛まない。
俺の彼女に対する愛情は、その程度のものだった。
そして杏奈も、俺と二年間一緒に過ごしてみて、きっと限界を感じただろう。
俺とでは幸せな未来は作れないとわかったはず。
そう、思っていた。
あの日──鈴森と矢城が抱き合っている場面を目撃した日、彼女と再会するまでは。
『離れても、今の関係を続けてくれる?』
異動が決まった時の彼女の問いに対して、俺は迷うことなく答えた。
『……続けるつもりはない。杏奈はそろそろ結婚だって考えるだろうが、俺はそれを叶えてやることは出来ないから。この関係は、今のうちに終わりにした方がお前のためだ』
俺の言葉を杏奈は予期していたらしく、反論もせずにただ俯くだけで。
昔のように、フラれてもしがみついてくる彼女はもういなかった。
俺はきっと、知らず知らずのうちに杏奈に甘えていたのだと思う。何をしても、彼女なら受け止めてくれると。
けれど、その存在がなくなってもさほど胸は痛まない。
俺の彼女に対する愛情は、その程度のものだった。
そして杏奈も、俺と二年間一緒に過ごしてみて、きっと限界を感じただろう。
俺とでは幸せな未来は作れないとわかったはず。
そう、思っていた。
あの日──鈴森と矢城が抱き合っている場面を目撃した日、彼女と再会するまでは。