裏腹な彼との恋愛設計図
『ミライトホームの新科店にショールームが出来るって話はもちろん知ってるでしょ? あたし、そこに異動することになったの』

「……それで?」

『隼人とも関わるかもしれないから一応の挨拶よ。ていうか、もうちょっと驚いてくれてもいいじゃない!』


口を尖らせている杏奈が容易に想像出来て、微笑を漏らした。

今年に入ってショールームの件を聞いた時から、もしかしたら杏奈がアドバイザーになることもあるだろうと思っていたから、あまり驚きはないのだ。


「そうか、よろしくな」

『うん。それと、もう一つ……隼人にとってはこっちの方が重要かもね』

「何だよ?」

『直接会って話したいんだけど』


今日二度目のため息を吐く。

直接会わなきゃいけない理由がどこにある? 電話でいいだろう。


「会う気はない」

『じゃあ教えない』

「お前なぁ……」

『隼人の会社の定休日って水曜だったよね。来週空いてる?』


どこまでもマイペースで強引な杏奈。こうなると彼女は絶対に意見を変えない。

あんな言い方をされたら、気になってしまうのは当然。

俺は三度目のため息をつきながら、仕方なく会う約束を交わしたのだった。


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