裏腹な彼との恋愛設計図
「新科店に来れば、きっと隼人が知りたいことがわかるわよ」

「……わかってる。でもさっきも言った通り、自分から行く気はない」


あの人のことは気になるが、自分から調べようとまでは思わない。

深入りしたら、過去のことまで引きずり出してきてしまいそうな気がするから。

そんなのはまっぴら御免だ。


目を伏せた杏奈は、テーブルの上に置いた手をぐっと握りしめて口を開いた。


「本当はね? こっちに来てほしい理由は仕事の件もあるけど、それより……あたしが隼人のそばにいたいっていう、個人的な願望があるの」


──やっぱり、か。

そうではなければいいと思っていたのだが……。


「もう終わっただろ、俺達は」

「そう思ってるのはあなただけよ」


彼女はわずかに感情の高ぶりを滲ませた口調で、きっぱりとそう言い切った。


「別れ話をしたあの時は、何を言っても無駄だろうと思って反論しなかった。でも離れて時間が経ってみたら、もしかしたら隼人の気持ちも変わるかもしれないって思った。
だから今日会いに来たの。──あたしの中では、まだ何も終わってないから」

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