裏腹な彼との恋愛設計図
「新科店のショールームでアドバイザーを担当することになりました、岩坂です。よろしくお願いします」
金曜日の午前中、皆に笑顔で挨拶する彼女を見て、私はピシッと固まっていた。
や、やっぱりそうだよ、あの人だよ!
ふんわりとした大人可愛いショートヘアに、切れ長の瞳、魅惑的な紅い唇。
カッコ良さと女性らしさを合わせ持つような、素敵な女性……この人が柊さんの元カノなんだ。
間近で見るとやっぱりすごく綺麗だし、私とは全然タイプが違う。
私なんてカッコ良さの欠片もないし、お子ちゃまだしちんちくりんだし……。
勝手に比較して落ち込みながら、岩坂さんと柊さんを交互にチェックしていると、二人の目が合った。
岩坂さんがにこりと微笑むと、柊さんはふいっと顔を背ける。
そんな彼にクスッと笑う彼女……。
なにこの余裕! さすがとしか言いようがない!
そして私は、気怠げに腕組みをしてうざったそうな表情の柊さんに、何故ときめいてしまっているの!?
彼に冷たくされるのは私だけでありたいのに……とまで思ってしまう私のドM度は重症かしら。