裏腹な彼との恋愛設計図
羨みと嫉妬が混ざった視線を送っていると、岩坂さんの隣に立つ社長が、にこやかに言う。


「ついさっき聞いたんだが、岩坂さんと柊くんは知り合いなんだって？」


えっ、と驚く皆の視線が二人に集中する中、岩坂さんが綺麗な笑みを浮かべて頷いた。


「えぇ、専門が同じで」

「そうだったのか。それならそうと、柊くんも言ってくれたらいいのに。水臭いぞ」


心底嫌そうな顔でそっぽを向く柊さんだけれど、社長はそんなことは気にせずに話を続ける。


「じゃあ柊くんと僕は、新製品のこと少し話聞こうか。君達は積もる話もあるだろうし」

「……積もる話はありません」

「もう、昔からこんな感じなんですよこの人。酷いですよねぇ」


不満げに口を尖らせる岩坂さん。

それでも、遠慮のない関係だということや、昔からの繋がりを見せ付けられたようで、私の胸はキリキリと痛くなる。


「はっはっは。柊くんはどの女性に対しても平等に冷たいんだなぁ」


社長はお気楽な調子で笑うと、柊さんと岩坂さんを連れて二階へ上がっていってしまった。

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