裏腹な彼との恋愛設計図
モダンなソファーで誘われて
「あっははは、隼人くんの写真載せようとして阻止されたんだ~」
今日も無事一日の業務を終えた後。
オフィスからほど近い欧風カフェバーのソファー席で昨日の出来事を話すと、向かい合って座る絵梨子さんが豪快に笑った。
「私も見たかったな、その極上スマイル」
「あ、スマホで撮ったんで今見せますよ」
「あら、ほんとに盗撮じゃない!」
長い前髪を耳に掛けながら笑う絵梨子さんは、クールそうに見えて笑い上戸だ。
切り揃えられた黒髪ボブスタイルのとびきり美人な彼女は、三十五歳にして独身。
姐御肌タイプで、性格も容姿も完璧なのだけれど、まだ一人の男と身を固める気はないらしい。
そこがまたカッコいいんだけど。
スマホの画面に指をすべらせていると、絵梨子さんはパンの器に入れられたチーズにとろりと海老を絡ませながら言う。
「私もいいと思うけどね、その働く男子特集」
「ですよね? 女の人なら絶対食いつきますよ」
「でも、隼人くんは自分の容姿を売りにするのが大っ嫌いなのよ。社長も言った通り、写真撮るのだって嫌がるし」
「そんなに嫌いなんですか……」
あんなにカッコいいのに、なんだかもったいない。