裏腹な彼との恋愛設計図
キスは星空の天井の下で
岩坂さんが来た翌日から、柊さんの代わりとなるプランナーの向井さんがやってきた。
彼は社長と同じくらいの年齢の、人の良さそうなおじさん。
柊さんとの引き継ぎも何の問題もなくスムーズにいっているらしく、さすがベテランという感じだ。
もうすぐ柊さんとしばしのお別れ。
何か行動を起こさなきゃと思いながらも、私に出来ることと言ったら高が知れてるわけで……。
「柊さん、お疲れじゃないですか? 肩揉みしましょうか!」
「余計凝りそうだからいい」
「紗羽特製アボカドジュース作ったんですけど、コーヒーの代わりにいかがですか?」
「……絶対いらない」
と、こんな感じで拒否られるばかり。
なんか違うぞ私。やらなきゃいけないのはこんなことじゃない!
うーんと頭を抱えること約十日、あっという間にバーベキューをやる日が来た。
定休日前日、日が沈んでいくらか空気も涼しさを感じ始めた頃。
業務を終えた私達は、駐車場に出て炭や椅子、食材の準備をしていた。
「お酒足りないかしらねぇ。向井さん飲める人?」
クーラーボックスの中を覗きながら瀬川さんが言うと、向井さんの代わりに社長が答える。