裏腹な彼との恋愛設計図
ジジジと音を鳴らすのは、線香花火か、ざわめく胸の奥か。

何とも言いがたい感覚に襲われて、膝を抱えたまま黙り込んでいると。


「……鈴森は行くのか? 同窓会」


隣の彼から問い掛けられ、一旦胸のざわめきが治まった。


「え……何で同窓会のこと知ってるんですか?」

「金井さんが言ってた」

「あぁ、翔吾くんが!」


何でそんなこと言ったんだろう、と疑問に思いながらも、「行くつもりですよ」と答えた。すると。


「あいつには気をつけろよ」


火の玉が落ちた花火をバケツに投げ入れて、柊さんがぼそっと言った。

あいつって、翔吾くんのことだよね?

そんな、気をつけなきゃいけないようなことは起こらないと思うけど。


「大丈夫ですよ、私達は友達以外の何物でもないし」

「元カレだろ」

「一応、そうなるけど……今は本当に異性として意識してないっていうか」

「向こうはそうじゃないかもしれないだろ。女なら誰でもいいと思ってるかもしれない」


ほんの少し苛立ちを感じる声色が響いて、星空の下に不穏な空気が流れる。

たしかに、翔吾くんはそういうフシはあるけど……。

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