裏腹な彼との恋愛設計図
「どうして……そんなに心配するんですか？　私がどうなっても、柊さんが気にすることじゃないでしょ？」


努めて卑下っぽくならないように、笑って言ったつもりだったのに。

疑問と不安、ほんの少しの期待が入り乱れて、ぎこちない歪んだ笑顔しか作れない。


柊さんは、どうしてこんなことを言うのだろう。

ただ同じ職場の仲間として心配しているだけ？　それとも──

思考を巡らしていた、その時。


「……お前は何もわかってない」


掠れた声で呟いた彼が突然手を伸ばしたと思うと、それは私の後頭部に回され、ぐいっと彼の方を向かされた。

その力強さと、目の前に映る少し切なげに歪められた綺麗な顔に、激しく鼓動が波打つ。

思わず息を呑むと、柊さんは抑揚を抑えた声でもう一度呟いた。


「わからないだろうな。俺がずっと、どんな気持ちでいたかなんて」


独り言のようなその言葉の意味を考えようとする間もなく、頭を引き寄せられる。

私の手から一本の細い花火がはらりと落ち

──唇には、柔らかなぬくもりが重ねられていた。

< 183 / 280 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop