裏腹な彼との恋愛設計図
「キスされたぁー!?」


午後六時過ぎ、高い天井にシャンデリアが輝く貸し切りのレストランで、二人分のシャンパンを受け取った朝海が叫んだ。

エメラルドグリーンのドレスワンピは、大人っぽい朝海によく似合っているけれど、今の彼女はひょっとこみたいな顔になっている。

何だ?と私達を振り返る懐かしい顔ぶれの友人達に笑ってごまかすと、私はウェルカムドリンクであるそれを朝海から受け取った。


「そうなんだよ、私になんて1ミリも興味なさそうだった彼が……私も酔ってたから夢見てたのかな」

「それが夢だとしたら脳神経外科にでも行ってきなさい」

「だよね……。あーもう何でだろう~」


思い出すだけで身体がふわふわとした感覚になる。

まだ開始まで時間がある今は人は多くなく、空いていた真っ白なソファーにへなへなと座り込んだ。


そのまま背もたれに後頭部まで預けようとして、今日は髪の毛をアップにアレンジしていたことを思い出す。

いつもと少し違う自分を見てもらいたいと思う人はここにはいないけれど、綺麗なままにしておかなくちゃ。

淡いベビーピンクのワンピースが覆う膝に両肘をつき、私は深いため息を吐き出した。

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