裏腹な彼との恋愛設計図
「あんなキャーキャー言うような存在の人っていたっけ?」

「さぁ……それか、誰かがすごいカッコ良くなっちゃったとか?」


朝海とコソコソ言いながら、人で見え隠れする男性を眺める。

そして、その人物がくるりと身体の向きを変え、私達の方を向いた瞬間──

私は心臓が止まるかと思った。


「……な、んで……?」


いるはずのない人がそこにいる。

こちらを、一度目を合わせたら引き込まれてしまいそうな、魅力的な瞳で見つめている。


──私の大好きな人が、凛とした姿で立っているのだ。


「ひ、らぎさ……!?」


驚きすぎて、うまく言葉を紡げない。

どうして……

どうして柊さんがここにいるの!?


目を見開いて口をぱくぱくさせる私に、彼は表情を変えずどんどん近付いてくる。

そんな様子を、周りの女子達と朝海が、ぽかんとしながら見ていた。


身体に力が入らず、座ったままの私の前でぴたりと静止した彼は、いつもの無表情にほんの少し口角を上げて言葉を発した。


「……久しぶり、鈴森さん」

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