裏腹な彼との恋愛設計図
あいつは昔と何も変わっていない。

俺はこんなにも変わったのに。

あいつがそのことに気付いていないとしても、俺なんかのことをいつも気にかけてくれることが、なんだかんだ言って嬉しいんだ。


三好だった頃のことは、出来れば思い出したくない。

親もケンカしてばかりで、学校には友達もいなくて。ただ一人で黙々と勉強することだけが逃げ場だった、暗い過去のことなんて。


だが、そんな中でも一つだけきらきらと輝く宝石みたいな存在があった。

それが、彼女。

何故か俺にくっついてきて、委員会まで一緒になって。変な噂を立てられて、関わらない方がいいと忠告しても、『私が話したいの』と言った。

そんなふうに言われたら、もしかしてあいつは俺に気があるのか?と、淡い期待を抱いてしまうのは致し方ないことじゃないだろうか。


事故の後、俺が記憶障害になったのをいいことに、嘘を信じ込ませようとしたのは女友達だけではなく、俺に対していい印象を持っていなかった奴もそうだった。

本人は軽い嫌がらせのような気持ちで嘘を教えたのだろうが、それは俺を混乱させ、人を簡単には信用しない癖みたいなものをつけてしまった。


だが、きっと鈴森はそんな奴らとは違う。

あいつなら信じてもいいと、信じたいと思った。本能的に。

だから俺も、彼女にそばにいてほしいと思ったんだ。……それなのに。

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