裏腹な彼との恋愛設計図
『三好さ、鈴森が話し掛けてくれるからっていい気になってねぇ?』

『オタクで勘違い野郎とかキモすぎ』

『あんな奴に付き合ってる鈴森も趣味悪いよな。まぁただの同情なんだろうけどさ』


クラスの奴らがそんな話をしているのを聞いて、彼女を信用しようという俺の気持ちはすぐにグラつく。

委員会でも、あの金井と親しげに話している姿を何度か見かけた。

最初は特に気にしていなかったものの、次第に二人の関係を疑い始め……。


『こいつとクリスマス過ごすのは俺だっつーの』


鈴森の肩を抱きながら言った彼の言葉を聞いて、やはりそうだったのだと思った。

そう、彼女が俺なんかに好意を抱いているはずがない。

好きだと言われたわけでもないのに、気があるような素振りだけで、勝手に勘違いしてしまった自分がバカだった。

全部ただの友達としてのことだったのだと、甘い夢から醒めたような気がした。


当然だと思いながらも、心の隅には裏切られたような想いがあったのも事実。

他人からしたら“そんなことで?”と思うかもしれないが、まだ大人になりきれていなかった俺にとっては大きな事だったんだ。

彼女は、本当に大切な存在だったから。


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