裏腹な彼との恋愛設計図
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母親のもとに同窓会の知らせは来ていたようで、恒例の留守電にその旨が残されていたから、詳細は知っていた。
仕事を終えた後すぐに会場へ向かい、同窓会から鈴森を連れ出して、ずっと明かさなかったことを打ち明けた。
彼女が言うには、あの時のことは俺の誤解らしい。
たしかに、あれだけのことであいつの本当の気持ちがどうだったかなんてわからないよな。
でも十年も前のことだから、本当に今さらそれはどうでもいいんだ。しかし。
「今の柊さんも好きだから」
──その一言は、受け流したくはない。
今度こそ彼女を信じて、自分の気持ちにも正直になりたい。
それなのに、どうしても裏腹なことを言って、信じるのを躊躇ってしまう。
過去はなかったことにしたいなんて言っておきながら、過去から抜け出せないでいるのは自分じゃないか。
そんな情けない俺に浴びせられた、突然のキス。
あいつの柔らかな温もりは、俺の強張った心をほぐしてくれるようで。
「私を信じてください。……隼人さん」
三好でも、柊でもなく……いや、俺のすべてをまるごと受け止めてくれるような言葉に、抑えていたものが決壊した。
理性はどこかへ吹っ飛び、難しいことを考えるのを、脳が放棄してしまった。