裏腹な彼との恋愛設計図
「何か用?」

『あっ、あのね、それが……お父さんが緊急手術をすることになったって、さっき連絡が……!』

「え?」


──ドクン、と胸が軋む。

緊急手術? あの人が?


「お父さんって……三好?」

『他に誰がいるの! ねぇお願い、隼人も一緒に病院に行きましょ?』

「手術って何の? どんな状態なんだよ」

『詳しいことは後で話すから……!』


母さんのこの切羽詰まった様子……まさかそんなに危ない手術なのか?

そう考えると急激に不安が押し寄せる。


「……わかった。今どこにいんの?」


別れて何年も経つのに、母さんがいまだに“お父さん”と呼んでいることとか、何故母さんに連絡が行ったのかとか。

疑問は多々あるが、とりあえず俺達はすぐに会うことにした。


──事故以来、俺は何かと父親のことを恨むようになっていた。事故の原因は父親だから。

だが、彼は穏和で人が良く、事故のことを死ぬほど後悔していたのも知っている。

俺と母さんのことを本当に愛していて、母さんが離婚の話を持ち出しても、最後の最後まで同意しなかった。

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