裏腹な彼との恋愛設計図
真っ白なシックルームで再スタート
電話を終え、決心して個室に戻ると……なんと鈴森が寝ている。
マジかコイツ。あの状況から普通寝るか?
しかもそんなに長く電話してなかったし……即寝かよ、神経太すぎんだろ。
「危機感持てっつーの」
ぶに、と軽く頬を摘んでみると「んへへ」と笑う。
つねられて喜んでるなんて、夢の中でもドMか。
思わず笑いをこぼしながら、備え付けられていた膝掛けで彼女の身体を覆った。
すやすやと気持ち良さそうな寝息を立てる横顔に、愛おしさが沸き上がる。
この子はまっすぐに俺と向き合おうとしてくれている。
俺もいい加減、外見だけじゃなくて中身も変わらないとな。
しっかりけじめをつけたら、今度は俺から想いを伝えよう。
「……もう少しだけ、待っててくれ」
頭を優しく撫でながら呟き、額にそっとキスを落として部屋を出た。
後ろ髪を引かれる思いではあるが、鈴森を連れて行くわけにいかないし、信頼出来る数少ない友人の一人であるあいつ、笹賀(ササガ)に任せることにしよう。
ホールに出ていた笹賀が奥へ引っ込む前に引き留め、事情を話しながら会計も合わせて頼むと、奴は目をしばたたかせる。