裏腹な彼との恋愛設計図
「それに、あなたの就職先は知っていたんだから、会おうと思えば会えた。でもそうしなかったのは、私にもどこか後ろめたい気持ちがあったからだと思うの」
「だから隼人は何も責任を感じることはないのよ」と、俺の気持ちをすべてわかっているようにフォローして、母さんは笑った。
「私が離婚したいと思ったのはね? 隼人が事故に遭って、それからずっと苦しんでる姿を見たら、“隼人がああなったのはお父さんのせいだ”って、あの人を憎むようになったからなの。
今まで気にならなかった些細なことも、すごく引っかかるようになって、もうこれはダメだなって思ったから」
トンネルの明かりが、光の線になって次々と流れていく。
それが映る目を、昔を思い出すように細めた母さんは、「でも」と言葉を繋げる。
「離れてみてわかることってやっぱり大きいのね。お父さんがどれだけ私と隼人のことを想って、大切にしてくれていたか……。一緒に暮らしていた頃は見えなくなっていたものに、身をもって気付かされたわ」
それは、きっと俺も同じだ。
家族がいなくても不自由はしないと思っていたし、実際社会に出てしまえば困ることはそれほどなかった。
だが心にぽっかり穴が開いたような、どうやっても満たされない寂しさがあったのも確か。
それくらい、俺にとっても家族は大事だったのだろう。
「だから隼人は何も責任を感じることはないのよ」と、俺の気持ちをすべてわかっているようにフォローして、母さんは笑った。
「私が離婚したいと思ったのはね? 隼人が事故に遭って、それからずっと苦しんでる姿を見たら、“隼人がああなったのはお父さんのせいだ”って、あの人を憎むようになったからなの。
今まで気にならなかった些細なことも、すごく引っかかるようになって、もうこれはダメだなって思ったから」
トンネルの明かりが、光の線になって次々と流れていく。
それが映る目を、昔を思い出すように細めた母さんは、「でも」と言葉を繋げる。
「離れてみてわかることってやっぱり大きいのね。お父さんがどれだけ私と隼人のことを想って、大切にしてくれていたか……。一緒に暮らしていた頃は見えなくなっていたものに、身をもって気付かされたわ」
それは、きっと俺も同じだ。
家族がいなくても不自由はしないと思っていたし、実際社会に出てしまえば困ることはそれほどなかった。
だが心にぽっかり穴が開いたような、どうやっても満たされない寂しさがあったのも確か。
それくらい、俺にとっても家族は大事だったのだろう。