裏腹な彼との恋愛設計図
それからも手術の話や今の仕事の話をして、わだかまりや気まずさはいつの間にかなくなっていた。

何年も会わなかったのに、むしろあの頃よりも気持ち良く話すことが出来る。

これが家族っていうものだろうか。


「この間、隼人が働いてるっていうミライトホームに行ったんだが……」

「知ってる。でも本社勤務だから、あそこにはいないんだ」

「そうだったのか。いや実は……父さんと母さん、もう一度やり直そうかと思っててな」

「それも昨日聞いたから知ってる」


一瞬目を見合わせると、俯いて恥じらう二人。

中学生かよ、と心の中でつっこみ、呆れながら腕を組む。


「俺、ヨリ戻すのとか嫌いなんだけど」


たしか前、杏奈にも言ったセリフを口にすると、二人はシュンとうなだれた。


「でも……それも悪くないか、って思った」


この人達を見てたら、なんか本当に前以上に想い合って、絆が深まっているように思えるから。

ゆっくり顔を上げた二人は、安堵したような笑みを浮かべた。


「家、建てようと思ってんの?」


父さんに尋ねると、点滴の管に繋がれた手を動かしづらそうにしながら「あぁ」と頷く。

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