裏腹な彼との恋愛設計図
ひとまずお昼ご飯を買い、会社までの道のりを歩きながら矢城くんに隼人さんとのことを話した(キスしたことはもちろん内緒)。
勝手に暴露しちゃってごめんなさい……と心の中で両手を合わせながら。
「そ、そんなことあるのかよ……まさか高校では同級生だったなんて」
「私も信じられなかったけどね、本当なんだよ」
終始驚きながら聞いていた矢城くんは、ため息を吐き出して頭をくしゃっと掻く。
「紗羽さんの忘れられない人が今の好きな人だなんて、俺がどう頑張ったところで最初から無理だったんだな……」
さすがの矢城くんもこの事実は堪えたようで、がくりと落胆する姿に胸を痛めつつ、私は頭を下げる。
「本当にごめんね」
「謝らないでくださいよ、余計惨めになるし」
「そうだよね、ごめん……あ」
つい何度も謝ってしまう私に、矢城くんはふっと小さく笑った。
そして、ソフトクリームのような入道雲が浮かぶ真っ青な空を仰ぎ、清々しい表情を見せる。
「でも俺、紗羽さんを好きになったこと、後悔してませんから」
そんなふうに言ってくれることが、なんだかとてもありがたかった。