裏腹な彼との恋愛設計図
矢城くんがそう思っても、隼人さんはどうだかわからない。

でも、彼の言葉は私を勇気付けてくれて、とても嬉しかった。

本当に、矢城くんが言うみたいに想ってくれていたらいいのにな。


「……ありがとう、矢城くん。結構矢城くんの言葉に助けられてるよ、私」

「こういう“いいオトモダチ”の立場にはなりたくなかったんすけどねぇ」


ペットボトルの蓋を閉めながら苦笑する彼は、「でも」と言って再び前を向く。


「こうなったら、好きな人の幸せを願うっていうカッコいいことをしたいと思います」


得意げな顔で小さくガッツポーズをする矢城くんに、私も笑ってしまった。

本当にありがとう。こんなに私を好きになってくれて。

感謝してもしきれないや。


「そのタイムカプセル開けるのは、いつどこで?」

「来週の土曜日、午後四時に高校だって。人集まるのかなぁ」

「でもいいなー。そんな懐かしい体験、今時することないんじゃないですか?」

「だよねぇ」


笑って話しながら、愛しい彼に想いを馳せる。

私の気持ちは、タイムカプセルに入れたみたいに、あの頃のまま変わらず残っているけれど。

彼の気持ちは、今どんなカタチになっているのだろう──。


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