裏腹な彼との恋愛設計図
「そういえばそうだった!」

「アンタ誰って書いたの!? 見せて見せて!」

「今日あいつ来てないから勝手に見てやろー」


俄然盛り上がりを増す皆。

そんな中、私と朝海はお互いに手紙を取り出しながら冷静に話す。


「紗羽はもう決まってるもんね。つまんないのー」

「つまらない言うな。朝海はやっぱりいとこの彼?」

「……あ、や、この時はまだ好きだって気付いてなかったから、別の人を……」

「うそ! 誰!?」


朝海の手紙を奪おうとしていると、足元で手紙を仕分けていた男子が一枚の封筒を拾い上げて呟いた。


「あれ、これ誰だっけ? 三好って……」

「えっ!?」


即座に反応した私は、彼の手から封筒を奪う。


「なんだよ、鈴森」

「これ、ちょっと貰っていい!?」

「あぁ、別にいいけど。てか三好ってどんな奴だっけ?」


いまだに思い出せないらしく、うーんと首を捻る彼に構わず、私は封筒を胸に抱きしめて皆から離れた体育館の隅に走った。

追い掛けてきた朝海と一緒に、ドキドキしながら封筒の隅に小さく書かれた“三好”の文字を見つめる。

< 254 / 280 >

この作品をシェア

pagetop