裏腹な彼との恋愛設計図
私に目線を上げた岩坂さんは、ふっと口元を緩ませる。


「……そうかもしれないわね。あの人本当に冷たいし、付き合える女の方が少ないかも」

「ですね」


目を見合わせて、私達は笑った。

岩坂さんと私はまったくタイプは違うと思うけど、なんだかわかり合えそうな気がする。


「あなたに謝れてよかった。これでスッキリしたし、早く新しい人見付けよーっと」


と言って明るい笑顔を見せた彼女は、オフィスにいる皆に軽く挨拶をして帰っていった。



その日の夜、無性に隼人さんが恋しくなった私は、彼に電話を掛けた。

『どうした?』という声を聞いただけで、胸がキュンとする。


「あの、特に用はないんだけど……」

『なら掛けてくるな』

「えっ!」

『嘘だよ。そろそろ冗談を判別出来るようになれ』

「えぇ~」


私をからかってククッと笑う彼だけど、やっぱり何をされても……


「隼人さん、好き。……って伝えたくて」


うわ、私なに乙女チックなこっ恥ずかしいことを!

言ったそばからちょっと後悔したけれど。


『あるじゃねーか、ちゃんとした用が』


優しく笑う声が私の鼓膜を揺らして、一気に幸福感に包まれた。

あまり本心を口にしない彼だけれど、声や態度の端々に愛情を感じられる。

私はそれを、一つ足りとも逃さないようにしよう──。




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