裏腹な彼との恋愛設計図

マイ・スウィート×××



それから、約一年と三ヶ月後の十二月初旬。

打ち合わせスペースには今年もツリーが飾られ、ミライトホームもクリスマス仕様になった。


あの頃の隼人さんのヘルプは二ヶ月足らずで終わり、それからは本社で変わらずにプランナーを続けている。

彼のご両親が主に住む新しい家も、この秋に完成した。

隼人さんは変わらずアパート暮らしをしているけれど、時々新居に帰って一家団欒を楽しんでいるようだ。



今日はお客様との打ち合わせが長引いて、現在午後七時になろうかというところ。

二人で帰れるかな、とわくわくしながらテーブルの上を片付け、一階に下りた。


オフィスには、帰り支度を整えている古賀さんしかいない。

おや?と思いながら狭い給湯室に入った、私の目に飛び込んできたものは。

シンクの前で、隼人さんに密着して手を伸ばし、彼の髪に触れる絵梨子さんの姿。


──ガシャッ!と、私がトレーやコップを落としそうになった音に反応して、こちらを向く二人。

目と口を開いて唖然とする私を見て、二人もキョトンとした。


「あら紗羽ちゃん、お疲れ様。……もしかしてとんでもない誤解した?」


隼人さんから離れてこちらに来た絵梨子さんは、何かを摘んだ指を私に見せてくる。

< 274 / 280 >

この作品をシェア

pagetop