裏腹な彼との恋愛設計図
そのファイルを私の手から取り、オフィスへ向かう隼人さん。


「俺達も帰ろう」

「うん! あ、この設計図は……」


まだ私の手に持たれたままの用紙を掲げて言うと、振り返った彼はぶっきらぼうに顎で私を示す。


「それはお前にやるよ」

「えっ?」

「製図の試験の練習がてら書いたのだから。いつかちゃんとしたやつ書くし」

「ふーん……?」


でも、私が誰のものかもわからない設計図をもらってもなぁ……。

微妙な気分で、もう一度なんとなくその図面を眺めてみる。


このミライトホームで扱っているような、二階建ての一軒家のようだ。

テラスがついていて、隼人さんが欲しいと言っていた屋根裏部屋もあって……

……と考えていると、あることに気付き、私は食い入るように用紙を見つめた。


一階には園芸が出来そうな広いテラス、ダイニングを見渡せるカウンターキッチンに、吹き抜けの天井。

まさか、この設計図は──。

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