裏腹な彼との恋愛設計図
パーティションの奥でふたりきり
翌日から、私は矢城くんを意識してしまって仕方なかった。
それは向こうも同じだと思うのだけど。
だって、目が合うだけでぽっと顔を赤らめたり、目を逸らしたりするから。
今も事務所を出ていく彼が私の視線に気付くと、少しはにかんでぺこりと頭を下げていった。
わかりやすくて、本当に可愛い。
「何ニヤついてんだ」
「うっ」
突然、ドスッと頭の上に重いモノが乗せられ、顔をしかめる私。
どうやら大量の用紙の束らしく、両手でそれを押し退けつつ見上げると、無表情の柊さんが立っていた。
「こ、これは……」
「昨日お前がコピーしたニュースレター。今から封筒に入れるから二階行くぞ」
「あ、はい!」
惚けてる場合じゃないよ、紗羽!
気を引き締めて二階へ上がると、パーティションで区切られた打ち合わせスペースの隣の空間へ入る。
そこの長机の上に、柊さんは五種類の広告の束と封筒をドサドサと置いた。
「先月一回やったからもうわかるよな?」
「はい。一枚ずつ、計五枚を封筒に入れればいいんですよね」
「あぁ、頼む」
そう言って、パーティションの方へ向かってしまう柊さんだけど……ちょっと待って。